デザイナーの言語化問題 エンジニアさんへ伝える時に気をつけていること

こんにちは。デザイナーのizumiです。
ウェブサイトの制作現場ではいろんな職能やリテラシーの人が関わるので、何か指示を伝えるだけだと本来の目的がクリアされなかった、なんてことも時には起こります。

今回は運用中のプロジェクトでのできごとを例に、デザイナーの立場からエンジニアさんに伝える時に気をつけているポイントを3つ解説します。

1. 指⽰と目的はセットにする

開発フェーズが終わり運用フェーズとなったプロジェクトでは、機能拡張の際に既にできているUIに対してデザイン修正を入れることがあります。
そんな時は「こうしてほしい、なぜなら〜」のように、必ず指示と目的をセットで伝えるようにしています。
例えば以下のような書き方です。

ログイン画面についての修正指示とその目的

先に指示を書き、後にその目的を書きます。
お互いに慣れてくればここまで書かなくても伝わるとは思いますが、いつ誰が見るか分からないので、基本的にはどのようなリテラシーの人にも理解できるように書いておくのがベストです。

デザイナーの立場からすれば当たり前のような指示であっても、改めて「それはなぜなのか?」と自分がそうしたい理由を掘り下げることで目的も明確になり、指示を受けた相手も疑問を抱かずに内容をスムーズに受け入れることができるのではと思います。

2. 主観的な言葉だけの指⽰は避ける

1の例では修正箇所が少なく明快なので最初から明確な指示を書けましたが、忙しい現場ではもっとラフに以下のような言葉で伝えることがあります。

ラフで主観的な言葉だけの修正指示の例

そんな時は自分の指示内容が主観的な言葉だけになっていないかを確認します。
これらの言葉の裏にあるのは、以下のような目的です。

ラフで主観的な言葉の裏にある目的の例

このようにして日頃から自分の言葉を客観視することを習慣にすることで、主観的な指示を避ける癖をつけるようにしています。

3. 納得感があるか⾃問⾃答する

相手にとって納得感があるかどうかも重要です。
互いの限りある時間を使って仕事をするわけですから、指示を伝えた後に何度も確認が発生するのは避けなければなりません。
納得感があることで理解も深まり、次に似たような指示をする時には「あの時と同じようにきっと目立たせたいんだな」などと予測がついて理解が早まるかもしれません。

仮に納得感が得られないまま修正作業をしてもらった場合、「何のためにこの修正を行うのか」という文脈が伝わっていないので相手はただの作業者になってしまいます。
例えば、

  • 目的を知っていれば提案してもらえたかもしれないアドバイスを受けられない(機会の損失)
  • 避けられたかもしれない余分な作業が発生する(予定外の工数の増加)
  • 修正が増えれば増えるほど相手にフラストレーションがたまる(やらされてる感によるマイナス感情の増加)

...といった事態が起こり得ます。

このように納得感があるとないとでは、お互いに気持ちよく仕事ができるかが大きく変わってきます。
そのためには指示内容とその目的が言語化できていても、最後には納得感があるかどうかを自問自答しています。

目的を伝えることでお互いに納得感を持てることが、デザイナー・エンジニアの共通理解にもつながる

将来的にはこれらの指示の実現にかかる工数や難易度も含めて判断できればベストなのですが、現状は自己判断が難しいので事前にエンジニアさんやディレクターさんに確認しています。

ちなみに上記の確認には、デザイナーの独りよがりになっていないか、プロジェクトのフェーズ的にそのタイミングで行うべき修正なのか...などを明確にする意味合いもあります。

まとめ:互いを尊重して気持ちよく仕事ができるように

私はデザイナーの言葉はかなり主観的であると思っています。
その主観的な言葉をそのまま相手にぶつけてしまうと、もちろん相手は自分とは前提知識も経験も職域も異なるわけですから、自分が意図したものとは違う伝わり方をする場面が出てきてしまいます。

それが一度だけならまだしも、何度も繰り返してしまうと、時には相手に自分に対する疑問や反発感情を抱かせてしまい、デザイナーだけでなく人間としても信用を失いかねません。
せっかく互いにウェブサイトやシステムをより良く使いやすくしていきたいと思っているのに、このようなすれ違いを起こしたくはありませんよね。

チームで働く上で、立場が違っても互いを尊重しつつ気持ちよく仕事ができるように、自戒も込めて自分自身に課すルールとして今後も続けていきます。

izumi

アートディレクター/デザイナー

2022年入社。
桑沢デザイン研究所卒業。メーカーでの企画開発、制作事務所でのグラフィックデザイン、地域おこし協力隊でのFab施設の運営やフリーランスなどを経て、マイロプスへ入社。
休日はだいたい読書か映画鑑賞か散歩をしています。

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