デザイナーとの共創で「リジェネラティブな社会」の理想像を視覚化する——大建工業株式会社インタビュー
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マイロプスでは2025年5月、大建工業株式会社様(2025年9月26日よりDAIKEN株式会社)の80周年イベント向けに「PROJECT RING」の一環として、リジェネラティブな社会の実現のための課題の提示と、それらの解決を目指す新規事業を紹介するインスタレーションの制作を行いました。
「PROJECT RING」はDAIKENのR&Dセンターが進めるプロジェクトであり、インスタレーションはその中の一部です。ここでは大建工業株式会社のご担当者様に、今回のプロジェクトにおける課題と、マイロプスを選んだポイントや強み、今後の要望などについてお話を伺いました。
【話し手】
大建工業株式会社 R&Dセンター 開発企画室 室長 石黒 成紀さん(中央右)
大建工業株式会社 R&Dセンター 開発企画室(※制作当時) 岩本 涼さん(中央左)
株式会社マイロプス 代表取締役 CEO 折坂 聡彦(左)
株式会社マイロプス アートディレクター/デザイナー 泉 佳子(右)
今回お話を伺った企業
大建工業株式会社(2025年9月26日よりDAIKEN株式会社。以下、DAIKEN)
「素材」「建材」「エンジニアリング」の3つの事業を柱とした総合建材メーカー。サステナブルな木質資源と未利用の無機資源を有効活用し、環境に配慮した素材・建材を製造・販売しています。さらに、エンジニアリング事業では、一部の商材を用いた工事の施工も行っています。
―― このたびはクライアントインタビューに対応いただきましてありがとうございます。今回の「PROJECT RING」のインスタレーション制作は手探りのプロジェクトだったと思います。最初は弊社にも何ができるか、どのような物が出来上がってくるかわかりませんでした。当初はどのようなことを課題として捉えられていたのでしょうか。
岩本さん 「PROJECT RING」は2021年頃から進めていました。最初は社内を調査するために工場に入って資源の無駄や廃棄物の有無を調べたり、自社のバリューチェーンについて再確認したりして、いまある課題をひとつひとつ探して、深掘りしていきました。その中で業界内で出ている「廃棄物」という課題に対してDAIKENとして何ができるのか、思考するところから始めました。
コンセプトになったのが10年、20年先を考えて資源を循環させるための取り組みです。ただ、これを社内外に伝えることが非常に難しかったのです。何度も文章やスライドにしてパワーポイントでまとめてみたのですが、限界がありました。
製造や事業のプロセスだけでなく、社会や地球環境という、もうひとつの軸をどう絡ませて説明していくのか。この見せ方をプロの方に相談したいというところから始まりました。

石黒さん 「PROJECT RING」として新たに始めましたが、木材や有用資源の利用、サステナビリティは元々DAIKENが昔からやってきていたことだと思います。ただし、あまり意識してこなかった。今回、あのようなビジュアルを作る中で、改めて我々がやってきたことが、そのリングの考えの中に入っているのだなと再確認することができたと思っています。
―― 社内で「PROJECT RING」の見せ方についてトライされている中で、弊社にご依頼いただいた理由や決め手を教えてもらえますか。
岩本さん 今回は3、4社の制作会社に「PROJECT RING」でしたいことを具体的に相談しました。ビジュアル重視の提案が帰ってくることが多い中で、マイロプスさんの提案は、バックグラウンドに技術のベースがあり、技術に対する理解を感じました。また、第三者の立場から我々の技術を見たときに、「どう伝えるか」というお話が出ていたのが個人的に印象的でした。
石黒さん 我々は今回のインスタレーションを作る前から「PROJECT RING」の活動をしていたのですが、私や岩本、スタッフの間で、どこまでがリングの対象なのかというのはちょっとずつずれているという認識がありました。
そんな中でマイロプスさんは我々がやろうとしていることをよく理解して、そういうプレゼンテーションをしていただいたと思っています。ディスカッションをしている中で、我々自身、リングについて改めて考える機会になりましたね。

―― 今回のプロジェクトの制作のプロセスにおいて、こんなことまでやるのかと感じられたり、想定していなかったり、印象的なことはありましたか?
岩本さん お互いにゴールが見えていない状態でスタートした部分があると思うのですが、当初いただいた見積書に、やることの項目がしっかりと書かれていました。それぞれの項目について確認したところ、きちんと細かくご説明していただけて、御社の中でやるべきことが整理されているとわかったので、安心して進められましたね。
石黒さん 傍から見ていても岩本はかなりこだわりが強くて、いろんな要望を挙げたと思います。毎週打ち合わせして、仕事量も多かったと思います。そんな中で、イラストの色を変えて欲しいという要望を挙げたときに、「そのパターンも作って比較して選べるようにしましょう」といっていただけたのがありがたかったです。やった結果として、元の方がよかった、ということもあったとは思いますが、自信を持って選ぶことができました。

―― やはり、イラストの色は実際に見ていただかないと、と思っています。最終段階でイラスト全部修正って言われるのはさすがに厳しいですが、相当な無茶振りじゃない限り、対応していきたいと思っています。そこは日頃から心がけているポイントなので、そういうお言葉をいただけて非常に嬉しく思っております。
最後に、今回のプロジェクトで、やってよかったことや、もう1度やるとしたらもっと改善したいみたいなポイントはありますか?
岩本さん 今回は、作っていただいたラフ案に対して、妥協せずに思ったことを伝えられたのが良かったと思っています。本当は、申し訳なくて意見を言うのは苦手なのですけど、今回は、色々と意見を交換した結果、納得して進められたのがすごく良かったと思っています。
もう一回やるとしたら、当初、イラストに関しての最終的な全体像がぼんやりしていたせいですれ違いも多かったので、最初に実際に集まってデザインを決めるようにしたいですね。細かいところはオンラインでのやりとりでも問題ありませんし。

―― クリエイティブの制作は密にミーティングした方が進みやすいですね。途中で御社に伺ってイラストをプリントアウトしたものを壁に貼り出してミーティングしたあと、前に進んだ感覚がありました。振り返ってみるとあの会をもっと早くやればよかったと思います。石黒様は、いかがでしょうか。
石黒さん 今回の制作では「PROJECT RING」だけでなく、DAIKENのことやそこで働いている人間がどんなことを考えているのか深く理解していただけたと思っています。今回のような大きなプロジェクト以外でも、また是非、一緒にお仕事をお願いできたらと思っています。
―― このたびはありがとうございました。
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