フォントのこだわりに触れ、フォントに萌えた日 〜CSS Nite LP61の参加レポート〜
こんにちは!
紙媒体のデザイナー出身で現在はマイロプスでデザイナーしてますishidoです!
先日の5月18日(土)にCSS Nite LP61に参加をしました。
今回のテーマは「これからのフォントとウェブでの組版を考える日」です。
まさしくフォントに特化したイベントです。
紙媒体のデザインに関わっていた頃はもちろん、現在もウェブデザイナーとしてフォントは 絶対的に欠かせない要素ですので今回参加をいたしました。
【目次】
- 今回のセッション内容
- 第二部のセッション:デジタル時代のフォント 筑紫書体のデザイン
- 筑紫明朝体のこだわり
- 筑紫明朝体の製作
- 筑紫書体のこれから
- まとめ
今回のセッション内容
今回のセッションは二部構成になっており、
第一部のセッションでは最新のwebfont情報や組版の知識など、テクニカルな情報について学び
第二部のセッションではフォントデザイナーの皆様の裏話や、今をときめく筑紫書体の生い立ちとこれから未来への想いを伺いました。
今回のブログは第二部のセッション
「ー筑紫書体のこれまで、と、これからー デジタル時代のフォント 筑紫書体のデザイン」をピックアップしてお伝えしたいと思います。
第二部のセッション:デジタル時代のフォント 筑紫書体のデザイン
みなさん筑紫書体をご存知でしょうか。
私が以前執筆をした気持ち悪いと感じるデザイン その2:フォント編でも紹介しましたが、筑紫丸ゴシックなどおすすめした書体のひとつです。
こちらの書体シリーズは何と言ってもその書体を配置しただけで紙面が決まるのです!!
今回は筑紫書体のシリーズを開発されているフォントワークスの藤田重信さんからお話を伺いました。
●まずスライドが超絶美しい
まずセッション時に使用されていた筑紫書体で構成されているスライドがとても美しくてその時点で感動しました。
『デ』の払いの力強さをお分りいただけるでしょうか!!それだけで私は萌えで卒倒しそうでした。
筑紫明朝体のこだわり
●筑紫明朝体とこれまでの明朝体との違い
筑紫明朝体とこれまでの明朝体とどこが違うのかお話していただきました。
1990年代半ば印刷技術の発展により、これまでの課題点であった
インク溜まり、滲み、ボケとは無縁になり高精度に文字を表現できる理想の時代が到来しました。
しかし、そこであきらかになったことが明朝体の表現が硬く活版時代にあった味気がなくなってしまったこと。
私も活版で刷られた本を持っているので滲み具合の心地よさは理解ができます。
そこで、筑紫明朝体の製作では活版のにじみを取り入れた書体を追求されたそうです。
だから筑紫明朝体からは独特の温度が感じられるのですね。
"にじみたまりボケは出汁"とおっしゃっていてワードがまた味わい深いと思いました。
フォントをデザインする時に気を遣うポイントとして下記のワードが出ていました。
- 右肩上がり気味に(右肩上がりは上手く見える)
- 運動(動き)の見せ方
- 伸びやかさ
フォントを表す言葉として、動きを意識していることが伝わってきました。
また、"書体の成功は居場所があること"とおっしゃっていたのも印象的でした。
筑紫書体の製作
一書体の製作に一体どれくらいの月日を要するのでしょうか。
答えは一年ほどだそうです。
一文字一文字丁寧に作られている様子も語ってくれました。
現在も一度作った書体のフォルムを検討し直しており、大量に修正を入れているそうです。
妥協を許さないからこそ、長年愛される書体が生まれてくるのですね。
●周りの意見を取り入れるこだわり
筑紫書体といえば筑紫丸ゴシックがとても有名で私も何度か実際にお仕事で使用をさせていただきました。
冒頭でも触れましたが
ただそこに配置するだけで絵になる書体なのです。
"優しさ
品が良い
筑紫ゴシック"
と表現をされていましたがまさにその通りでこちらの書体を使用するだけで品が良くまとまります。
多くのPOPや本の装丁にも使用されているのを見かけますね。
また、この書体は最初藤田さんは作る気が無かったそうですが
錚々たる面々のデザイナーからリクエストを受けて作成にこぎつけたのだそうです。
藤田さんはとてもこだわりをお持ちと見受けられましたが
周りの意見も取り入られる柔軟さが人気書体を産み出す秘訣なのだと学びました。
筑紫書体はこちらから見れます:https://fontworks.co.jp/column/archives/30
筑紫書体のこれから
筑紫書体にはすでに多くのシリーズが存在しているとのことですが、今後はファミリー化に力をいれていきたいとのことでした。ただ、現在もフォントの開発に追われているとのことで時間との折り合いが中々つかないとのことでしたが「頑張ります!」と気合いの入ったお言葉をいただきました。期待しております。
また、今回紹介された書体の中にフーツラを日本語に落とし込んだ"AMゴシック"を拝見しましたが、
ユーモアに富んだ可愛らしい書体で胸キュンしました。
リリースされましたらぜひ使いたい書体です!!
藤田重信さんのTwitterより(AMゴシック):https://twitter.com/tsukushi55/status/868042418838319104
まとめ
今回藤田さんからのお話は2時間たっぷりお聞きできて筑紫書体へのこだわりと
愛情がとても伝わってきました。
書体というのは私たちデザイナーにとっては欠かせないもので、
普段使用する書体が作られていく過程を知れたことにより、敬愛する気持ちが深まりました。
一文字一文字を大事に作られた書体を今後も大事に使用させていただきたいです。
今後も筑紫書体の進化から目が離せません!
貴重なお話ありがとうございました。
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